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痛風と高尿酸血症

健診や人間ドックの普及により自分自身の血糖値・コレステロール値を答えられる人が増えている印象です。しかし「尿酸値」を言える人は少ないかもしれません。意外と忘れられがちな尿酸について解説します。

痛風と高尿酸血症

尿酸とは人間の新陳代謝の結果生まれる老廃物です。プリン体という体内のエネルギー源の残りかす、とも言えます。老廃物がうまく排出できない、産生と排出のバランスが悪いと尿酸値が上昇します。尿酸値が高くなっている状態(7mg/dl以上)を「高尿酸血症」と呼び、足の指など関節内に尿酸の結晶ができて炎症を起こした状態を「痛風」と言います。病名に「痛」の名が入っている通りかなりの激痛です。女性ホルモンに尿酸値を下げる働きがあるため男性に多い病気です。

合併症・治療方針

痛風発作を起こした方は原則服薬治療が必要です。高尿酸血症だけの方は直ちに内服が必要になるわけではありません。まず後述のごとく生活習慣の是正をしていただき、経過をみていきます。生活習慣を見直しても尿酸値が8~9mg/dlを下回らない場合、内服治療が考慮されます。目標の尿酸値について定まっていませんが概ね6mg/dl未満を目指しましょう。
「痛風にさえならなければ尿酸値は高くてもよいのですか?」と聞かれます。実は高尿酸血症は全身に悪影響を及ぼします。特に慢性腎臓病、心不全、動脈硬化、高血圧などを引き起こしたり、それらを悪化させることが知られており、放置してはいけません。
現在は薬剤(尿酸降下薬と言います)がいくつも出ており病状に合わせて内服することで尿酸値をコントロールすることが可能です。

その他(注意すべきことなど)

生活習慣の是正が大切です。肥満は尿酸値を上昇させます。アルコール、特にビールは麦芽・酵母由来のプリン体を多く含みますので注意しましょう。肉、魚介類(レバー類全て、干物類の多く、白子、アンコウ)など美味なものにはたいていプリン体が多く含まれます。砂糖が肝臓で代謝される際にプリン体が分解され尿酸値を上げることが知られており砂糖や、ジュースの摂取もほどほどに。

小千谷総合病院
内科部長
田沼厚人

掲載日:2025年02月03日