慢性肝臓病(CLD)
近年B型肝炎やC型肝炎といったウイルス性肝疾患は目覚ましい治療の進歩を遂げましたが、いまだに肝硬変や肝臓がんに進行してから初めて発見されるケースが数多くみられます。ウイルス性肝疾患による死亡者が減少する一方で、生活習慣病を基盤とする脂肪肝(MASLD)やアルコール性肝疾患をベースとした肝硬変、肝臓がんが急速に増えてきているためです。
奈良宣言2023
上記のような状況を踏まえて、昨年6月に奈良市で開催された日本肝臓学会総会において「奈良宣言2023」が提唱されました。健診でALT>30U/Lであった場合、まずかかりつけ医を受診しましょうという提言です。そしてかかりつけ医によって原因検索がなされ、必要に応じて消化器内科専門医と密接な診療連携を取ることによって肝硬変や肝臓がんへとつながる慢性肝臓病(CLD:Chronic Liver Disease)を早期に発見して治療を導入することを目的としています。
対策
肝臓病は自覚症状がないまま進行し、肝線維化から肝硬変、肝臓がんへと進行していきます。積極的に健診を受けて定期的に肝臓の状態をチェックするようにしましょう。
予防方法(注意すべきこと)
最近増加しているアルコール性肝疾患ですが、飲酒量を一定量以下に減らすことで肝硬変へと進行するリスクを軽減することが期待できます。エタノール換算で男性で40g/日以下、女性で20g/日以下が目安になります。節度ある飲酒を心掛けましょう。
※20gの目安:ビール500ml、日本酒1合、缶チューハイ350ml、ワイン2杯
掲載日:2024年09月02日