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家族性地中海熱

家族性地中海熱という病気をご存じでしょうか?比較的新しく、非常にめずらしい病気なのであまり聞き慣れないかもしれません。地中海周辺の地域に患者さんが多く、家族内で同じ病気をもつこともあるためこのような名前がつけられています。今まではよくわからない発熱の原因と言えば、感染症・ガン・膠原病と大まかに分けられていましたが、そこに新たに自己炎症性疾患が加わり、第4の発熱として注目されました。その代表が家族性地中海熱です。

初期症状

典型例は発熱と腹痛の発作です。熱は38℃を超える高熱で、腹痛もかなり強く、あまりの痛みから救急車で搬送されることもあります。虫垂炎と間違われて開腹術になる人もいるほどです。不思議なことに1~2日するとケロッと何事もなかったかのように治ってしまいます。

治療方法

いったん発作が出てしまうと痛み止めを飲んでもあまり効果はありません。感染症ではありませんので抗生剤も効きません。
予防が治療の基本です。コルヒチンという薬を毎日服用することで発作が起きないよう、あるいは少しでも和らぐようにします。

その他注意すべきこと

もし以前から高熱と腹痛の発作を繰り返すことがあり、原因がよくわからないという方がいれば内科で相談してみてください。家族性地中海熱かもしれません。いつ訪れるかわからない発作のせいで仕事に支障がある、予定が立てられないなどという悩みが解消される可能性があります。

上越総合病院
膠原病内科
菊地 珠美

掲載日:2024年02月29日