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おしりの話 -痔核-

肛門の最も身近な疾患である「痔」。現代人の3人に1人は痔を持っていると言われています。痔の歴史は長く、西洋のナポレオンや日本の松尾芭蕉、夏目漱石など古今東西の偉人たちも痔に悩まされていたとのこと。
自分では直接見ることができず、また他人に相談することも気が引けるため、ポピュラーでありながら、病状がわかりにくい疾患の一つではないでしょうか。

初期症状

長年にわたる排便習慣(排便時のいきみや便秘)、生活習慣(排便を我慢する、長時間座り続ける)により、直腸や肛門の静脈にうっ血を生じ、腫れをきたす疾患が「痔」です。痔核の腫脹や変形により脱出、出血、疼痛、痒みなどの症状が生じます。

治療方法

保存的治療(薬物療法)と外科的治療(痔核結紮切除術や硬化療法)があります。
抗炎症作用、血液循環改善、便軟化作用のある内服薬・坐薬を用いた保存的治療から開始し、痔核の症状改善が見られない場合に、外科的治療を検討します。

予防方法

痔疾患を悪化させない生活習慣として、排便習慣の改善が第一です。便通を整えて排便時に長時間いきんだり便意を我慢することを避けましょう。また、排便後には肛門部を優しく洗浄することで、過度な擦過やうっ血を軽減できます。長距離運転や立ち仕事、デスクワークで長時間座り続けるなど肛門に負担をかける姿勢を行わないことも大切です。

その他(注意すべきことなど)

米クリーブランドクリニックの研究によると、排便の姿勢は、背筋を伸ばして前傾姿勢(前かがみ)をすることが理想的との結果でした。そうすると直腸と肛門がまっすぐとなって、ふんばった力が肛門に伝わりやすくなり、肛門が緩んで排便がスムーズになります。
便秘で困っている方は、食物繊維の摂取や下剤の内服以外にもトイレの足元に小さな台を置き、排便時は台に両足をつけて膝を少し上げた前かがみの姿勢をお勧めします。

豊栄病院
外科部長
竹石 利之

掲載日:2023年09月01日