病気ピックアップ

大腸癌

近年大腸癌は最も多く注意が必要な悪性疾患です。実際の罹患率は男女ほぼ同等(少し男性が多い)で、死亡率は残念ながら女性のがんの中で最も多いです。幸い令和の現代は癌は早期発見で完治する時代です。中でも大腸癌は、目覚ましい内視鏡機材の発展により、早期発見が極めて容易となっています。

初期症状

極初期の大腸癌の症状はありません。大腸癌の症状の一つに血便がありますので、便の中の僅かな血液の存在の有無を調べる便潜血検査が本邦では広く健診などで普及しています。誤解されがちなのが、便潜血が陰性であっても大腸癌は大丈夫ということにはならないという点です。内視鏡検査は直視下と同等以上の情報が得られますので非常に正確です。早期発見のみならず早期治療に直結する唯一の方法は内視鏡検査となりますので、気になる方は積極的に検査を受けてみてください。

治療方法

内視鏡治療、外科治療、点滴抗癌剤治療などがあり、病期の進行具合で治療選択します。極早期で見つかった場合は転移をしませんので、日帰りや短期入院の内視鏡治療で完治が可能であり、内視鏡検査による早期発見の恩恵は非常に大きいです。進行癌になって万が一転移が見つかった場合でも、大腸癌は抗癌剤が効きやすい癌種ですので、外科治療や抗癌剤を組み合わせて病状に沿った正しい治療選択をすることが重要です。

予防方法

喫煙、過度の飲酒、肥満、運動不足が大腸癌のリスクとなります。禁煙、節度ある飲酒、適度な運動やバランスの良い食事摂取を心掛け、現代病のいわゆるメタボリック症候群の克服が重要となります。発症は30歳台後半から散見されるようになり、その後徐々に増加に転じ、70歳台後半から80歳台で罹患率・死亡率共にピークを迎えます。内視鏡検査では、5mm程度の極めて微小な病変でも早期発見が可能であり、同時に治療も行えてしまいます。働き盛りの壮年期になって気になる方は便潜血検査で済ますことなく、是非一度内視鏡検査を直接受けることをお勧めします。

その他(注意すべきことなど)

頻度は少ないですが、遺伝性の大腸癌が存在します。家族性大腸腺腫症、リンチ症候群がそれに該当します。これらのケースは若年で発症しますので注意が必要です。近親者に大腸癌の方が複数おられるケースは、遺伝カウンセリングの整備された病院にて早めにご相談下さい。(県内では新潟大学医歯学総合病院、新潟県立がんセンター新潟病院、新潟市民病院、長岡赤十字病院で対応しています。)

けいなん総合病院
消化器内科・内視鏡内科
内視鏡センター長
山川 雅史

掲載日:2023年06月01日