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糖尿病性ケトアシドーシス

糖尿病は初期段階では自覚症状にとぼしいことが多く、長期的な合併症が問題となることが多い疾患です。しかし著しい高血糖はそれだけで重篤な糖代謝失調や循環障害をきたし重症化すると命にかかわります。専門用語で糖尿病性ケトアシドーシスや高血糖高浸透圧症候群といった病態に陥りますが、これからの時期暑くなり水分補給にジュースを多飲することで急激に高血糖となってこの糖尿病性ケトアシドーシスに陥ってしまう患者様がおられ、ペットボトル症候群と呼ばれています。

初期症状

血糖値が著しく高くなるとのどの渇きを感じ、また尿量が増えます。ケトアシドーシスに陥れば疲れやすい、吐き気、意識障害といった重篤な症状をきたし、時には命にかかわります。
こうなる機序としては高血糖・尿量の増加でさらに喉が渇き、水分補給にジュースなどをとるとそれでさらに血糖値があがるという悪循環に至ってしまいます。通常であれば体の中のインスリンというホルモンが血糖値をさげてくれますが、血糖値が高い状態がつづくとインスリンの出や働きが悪くなってしまいます。そしてきちんと糖分を使用できなくなった結果、『ケトン体』という物質が体に蓄積しこのような重篤な状態になってしまいます。

治療方法

ここまで重症になってしまいますと、入院で点滴・インスリン注射を使用して血糖値を下げる必要があります。安定後に内服薬に切り替えていける場合もありますが、患者様の体のインスリンの出が悪くなっていないかなどが重要となってきます。

予防方法

水分補給は基本的に水・お茶などで糖分の入ったものは避けること。
糖尿病を指摘されている患者様は普段から血糖を良好に管理しておくこと・きちんと定期的な通院をかかさぬことが重要であります。
また糖尿病といわれていない患者様でも、極端なジュースの多飲は避け、普段から健康診断をうけ早期発見に努めることが重要でしょう。

その他注意すべきこと

糖尿病は軽傷の場合には自覚症状に乏しいことが多く、予防方法でもあげましたが早期発見が重要であります。今回ご紹介したような重症な場合だけでなく気づかぬまま合併症が進行してしまうこともあり、普段から健康診断などをうけ血糖の悪化時に早いうちから病院に相談できるようにしていきましょう。

小千谷総合病院
内分泌・代謝内科 医長
岸 裕太郎

掲載日:2022年06月01日