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B型肝炎・C型肝炎

肝疾患の原因には、ウイルス性肝炎、アルコール性肝障害、非アルコール脂肪性肝炎などがあります。新潟県には、ウイルス性肝炎のうちB型肝炎ウイルスに感染した人が2.5万人前後、C型肝炎ウイルスに感染した人が4万人前後いると推定されています。この中には、感染が分かりながら受診をしていない方、肝炎検査自体を受けたことがなく感染していることに気付いていない方も多数含まれると考えられます。B型肝炎、C型肝炎は薬でのコントロールが可能です。また、さまざまな対策(肝炎ウイルス検査の促進やB型肝炎ワクチン接種の普及など)によって感染を予防できる時代になりました。

初期症状

肝臓は右上腹部にある臓器で「沈黙の臓器」といわれており、肝炎になっても自覚症状はほとんどありません。そのため本人が気付かないうちに、肝硬変や肝がんへ移行するリスクがあります。

治療方法

B型肝炎、C型肝炎の治療は、いずれも薬でのコントロールが可能です。特にC型肝炎の95%以上は、副作用が少ない内服薬でウイルスを消失させることが可能になりました。病態によって、定期受診で良い場合から内服薬、注射薬による治療の必要がある場合などさまざまなケースが考えられますので、専門医にご相談ください。また、肝炎医療費助成制度を利用すれば、治療費の負担も軽くなります。医療機関や最寄りの保健所、都道府県の窓口などにお問い合わせください。

予防方法

B型肝炎、C型肝炎は血液や体液を介してウイルスに感染することで発症します。出生時の母子感染、性行為感染、唾液などによる幼児期感染、覚せい剤など注射器の使い回し、カミソリや歯ブラシなど出血の可能性がある生活備品の共有などが挙げられます。肝炎ウイルスに感染しないためには、他人の血液に触れないことが大切です。血液に触れなければならない場面では、使い捨て手袋などを装着して直接血液に触れないようにし、手洗いをしっかり行います。また、性行為による感染を防ぐためにはコンドームの使用も有効です。C型肝炎を予防するワクチンはありませんが、B型肝炎はワクチン接種を受けることで感染予防につながります。このような対策をとることで、通常の生活において感染する危険はほとんどありません。

その他注意すべきこと

まずは肝炎検査(血液検査)を受けて感染の有無を調べましょう。肝炎検査は人間ドックなどの健診時、保健所、県内の検査協力病院(肝疾患相談センターのホームページに記載)などで受けていただけます。検査の結果、肝炎ウイルスの陽性が疑われた場合には必ず医療機関を受診してください。すでに陽性と診断されている方は、自覚症状がなくとも治療を中断せず、医師の指示のもと定期的な通院を継続していくことが肝硬変、肝がんの予防につながります。

村上総合病院
健診センター・保健師
肝炎医療コーディネーター
吉村 智美

掲載日:2022年03月18日