片頭痛(頭痛外来)
頭痛を一生に一度も感じたことがないという人は10%もいないといわれるくらい頭痛は痛みの中でもポピュラーなものです。しかし、「頭痛」は医学的診断でもあるのです。片頭痛という頭痛がありますが、これは頭痛の中に入る一つの診断名であってほかにも緊張型頭痛などの頭痛があります。
今回は、豊栄病院の頭痛専門医が、「頭痛外来」を開設するにあたって、片頭痛を取り上げてみます。
初期症状
片頭痛は前兆のある片頭痛と前兆のない片頭痛に大きく分けられます。前兆のない片頭痛はいきなり片側の頭が脈を打つように痛みを感じるようになるものです。
「前兆」とは、多くは、視野の中に、次第に大きくなる歯車のような小さな点が、輝いてうごめきながら大きくなり、視野の外側に消えていくものです。実際に目の前にあるのではなく脳の視覚野というところの血液が少なくなって見えていると考えられています。閃輝暗点と呼ばれています。この前兆がなくなってから、激しい頭痛発作がやってきます。前兆のないものよりも長く強いので、嘔吐や吐き気を伴うため、静かにしておく必要があります。
治療方法
片頭痛は、月に4回以上の頭痛発作がある場合には、発作がない時でもやる気が出ないなどの生活に支障のある症状があるので、予防的治療を行います。予防的治療には、カルシウム拮抗薬など血管を広げる薬を使うことが多いです。これは、片頭痛発作の前に血管収縮が起こるのを防いで発作を止めるためです。最近では、片頭痛の痛みはCGRPというペプチド(たんぱく質より小さいアミノ酸の集合)が頭痛の痛みを起こすので、これに対する抗体でCGRPを取り除いてしまうという治療もあります。ただ、高額なのが難点です。発作時には、トリプタン製剤や新しい片頭痛専用の痛み止めもあります。
予防方法
片頭痛は、週末に起こりやすく、weekend headacheとも呼ばれています。仕事が忙しいときには片頭痛発作がなく、ほっとしたときに起こりやすくなるといわれています。睡眠不足は、頭痛の誘発因子とされていますが、寝すぎも頭痛を起こすとされているので、休日だからといって10時間以上睡眠をとるのは片頭痛発作の原因を作ることになりかねません。
その他(注意すべきことなど)
カフェイン、人工甘味料の摂取は、片頭痛の原因になることがあります。これらは、血管収縮作用があることが多いので、片頭痛のメカニズムでお話したその後の血管拡張を起こして頭痛発作を誘発することになってしまいます。空腹は片頭痛発作のもとになるので、3食きちんと食べ、規則的生活を送ることも大切です。
掲載日:2024年07月01日