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RSウイルス感染症

RSウイルス感染症は、RSウイルスの感染による呼吸器の感染症です。何度も繰り返しかかりますが、生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の子どもが少なくとも1度は感染するとされています。乳児期早期(生後数週間~数カ月間)にRSウイルスに感染した場合は、細気管支炎、肺炎といった重篤な症状を引き起こすことがあり注意が必要です。

初期症状

軽い風邪の様な症状(咳や鼻水)から始まり、その後発熱、咳がひどくなる、などの症状がみられ、発熱から3~5日目位に最も症状がひどくなり、その後回復に向かいます。初めてRSウイルスに罹患した乳幼児では、普段の風邪より発熱期間が長く、咳もひどいことが多いですが、多くは1週間程で軽快します。そのうち3割程は喘鳴、呼吸困難を伴い、入院管理が必要になることがあります。年長児や成人では軽い鼻水や咳などの軽微な風邪症状のことがほとんどです。

治療方法

特効薬はありません。発熱や呼吸器症状を和らげるため、解熱剤や去痰薬を使って対症療法を行います。水分が摂れない時や呼吸状態が悪化している時には、吸入治療、酸素投与、点滴治療などを行います。

予防方法

RSウイルスは咳などの飛沫感染と接触感染で感染します。重症化しやすい乳幼児への感染を予防することが大切です。基本的な予防方法は、日頃の手洗いやうがい、マスク着用になります。年長児や成人は、咳などの呼吸器症状がある時には0歳児、1歳児に接触を避けることが乳幼児の感染予防につながります。乳幼児へ日常的に接する人は特にマスクを着用して接することを心がけましょう。

その他注意すべきこと

低出生体重児や、心臓や肺に基礎疾患があったり、神経や筋肉の疾患があったり、免疫不全が存在する場合には重症化のリスクは高まります。重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症などがあります。生後1か月未満の児がRSウイルスに感染した場合は、無呼吸発作を起こすことがあり危険です。風邪のウイルスの一つではありますが、重症化リスクの高い子に感染しないよう周囲の人々が注意して予防していきましょう。

けいなん総合病院
小児科医師
額賀 愛

掲載日:2022年12月01日