成長期のスポーツ障害
スポーツ障害とは長期的に同じスポーツを続けることなどによって、体の一定の部位に負担がかかって起こる障害のことを言います。スポーツにおける体の使い過ぎ(オーバーユーズ)を原因とするもので、成人だけでなく、成長期の子供にもよく起こる障害です。スポーツ障害は早期に対処しないと重症化して、関節が変形したり骨が分離したまま直らなかったりと、日常生活に支障を生じることがあります。
よく発生する時期はありますか?
大会があり部活動が盛んになる春や秋に多く発生します(図1)。
特に春は学年が変わり環境が大きく変化する時期です。小学校や中学校で最高学年になると夏までに最後の大会があり負担と責任が重くなります。また中学校に進学すると急に部活のレベルが上がります。春や秋は成長期のスポーツ選手にとって、トラブルの発生の多い時期です。
初期症状はどのようなものがありますか?
膝の痛みはオスグッドシュラッター病、腰の痛みは腰椎分離症、肘の痛みは内側上顆剥離骨折、離断性骨軟骨炎、肩の痛みはリトルリーグ肩(骨端軟骨損傷)が多く、いずれも痛みが初発症状です。放置し続けると生活に支障が出るほどの痛みが長期的に続くようになります。そうなってしまうと治療しても治らないこともあります。
治療方法はどのようなものがありますか?
正確な診断をつけることが大切です。次に原因が単なる使い過ぎかフォームなどにあるかを調べます。痛み止めなどの薬は使用せず、リハビリなどで対応します。使い過ぎの場合は、練習の内容を見直す、ストレッチを適切に行うなどの対策をとり、練習を続けながら治します。フォームに問題がある場合は、可能な限りフォームを修正して治します。
選手の心がけもさることながら、保護者や指導者の障害に対する理解と知識が重要になります。一時の思いで痛みを我慢してスポーツを続けてしまうと、関節が変形したり痛みが長期に続いたりしてその後の生活に支障をきたすことがあります。特に小学校5年生から中学校3年生までの時期は、成長の個人差が大きいので、保護者や指導者の方は基本に忠実におおらかに見守ってください。
また選手が「痛い」と言える環境を作ってあげることも大切です。決して無理をさせず痛みが出たときは、医療機関に受診して適切な治療を行うことが重要です。
掲載日:2019年04月24日