熱中症の予防
これから暑い季節を迎えます。近年、室内にいても熱中症を引き起こすニュースが多く聞かれるようになりました。熱中症は高齢者によくみられ、命に関わることもあります。自宅で過ごされている要介護高齢者の方は特に注意が必要です。熱中症予防として水分を多く摂ることは知られていますが、高齢になると飲み込む力が弱くなり水分を摂る際に誤嚥しやすくなります。またその経験から食事や水分を摂る機会や量が減り、熱中症に陥りやすいという負のループを招くことがあります。そこで誤嚥を防ぎながら熱中症を予防する方法を解説します。
誤嚥を防ぐ水分摂取の方法
姿勢
- 椅子に座れる方はしっかりと足を床につけて背筋をなるべく伸ばして座りましょう。
- ベッド上の方は30度以上起こして首を前屈とし、体とベッドに隙間をなるべく作らないようにしましょう。(図1)姿勢が崩れないようにクッション等で調整すると良いです。上を向いたり姿勢が悪いまま水分を飲もうとすると誤嚥の危険性が高まります。
飲み方
- 1口の量を減らしたり、ペースをゆっくりにしましょう。少なめに調整することで飲みやすくなります。
- 「これから飲むぞ」という意識を持って水分を飲みましょう。飲むことを意識すると脳が刺激され上手に飲めることがあります。
水分の粘度・温度調整
- トロミ剤を使うことで、まとまりが良くなめらかなになります。口の中に広がらず喉を通る速度がゆっくりとなるので、お試しください。
- 市販で売っている片手で飲めるパウチタイプのゼリー飲料もお勧めです。
- 体温に近いぬるいものより、冷やした飲み物の方が誤嚥しにくくなります。なるべく冷たい飲み物を飲むようにしましょう。
毎日少しずつでも運動して全身の筋力を保つことで、安全な嚥下を維持することができます。また会話をする、歌を歌う、発声練習等で安全な嚥下につながることがあります。飲み込む力は人によって違うので、誤嚥を防ぐには個々に合った方法を選択する必要があります。安全に水分を摂取して熱中症を防ぎましょう。
掲載日:2019年07月24日